◆ 民法による解決***消費者契約法による取消との違い
消費者契約法では、消費者契約の場合について、民法による取消しに加えて事業者に取消事由があった場合には消費者はその契約を取消すことができるとする取消制度を定めている。
消費者契約法による取消制度には、事業者の契約勧誘時点の説明に問題があった場合の、「誤認類型」として「重要事項の不実告知」「断定的判断の提供」「不利益事実の故意の不告知」の3種類と、勧誘の際に消費者が断っているのに困惑させて契約を強いる「困惑類型」として、「不退去」「退去妨害(監禁)」の2種類を取消事由と定めている。
消費者契約法の取消事由は、民法の詐欺や強迫の場合のように、事業者側に「騙して契約させようとする意図」「強迫して契約させようとする意図」という事業者側の主観的な要素を必要としていない。
「重要事実にるいての不実告知」についていえば、販売している商品やサービスなどの目的物の客観的な内容、品質、効果、使途等と事業者の説明とが異なっているという事実が証明できれば、取消制度の適用がある。事業者に、騙して契約させる意図があったかどうか、正しい情報を知りつつ、「意図的に事実とは異なる説明をしたものであること」は要件として必要とされていない。
また、困惑類型の場合には、「不退去」「退去妨害」の事実があれば取消すことができ、事業者の行為により消費者が怖い思いをしたり判断を抑圧されたりすることまでは要件とされていない(ただし、消費者が困惑したことは必要である)。
このように、消費者契約法の取消事由は、外形的な事業者の行為があれば、消費者からの取消しができることとしたものであり、民法上の詐欺や強迫よりも利用しやすい取消制度であるといえる。ただし、取消事由の用件が、民法の詐欺・強迫よりも狭く限定されている。
消費者契約法の適用は民法の適用を妨げないので、消費者契約法の取消しができる場合でも、できない場合でも、民法による取消しの可能性がある場合には、民法上の取消し主張することができることとされているので、利用しやすい方を選択すればよい。
このような意味で、消費者契約法による取消制度は、従来の消費者被害救済の方法に、さらに消費者契約法のよる取消制度が加わったものであると考えることができる。
|